学習塾のNAKANOのBLOG

小・中学生の学習方法や環境について

塾の講師とはシェルパのようなものです

熊本市 塾

ある登山家のお話です。

有名なエベレスト登頂を目指した登山家の方がいました(名前は伏せます)。有名というのは、すごく実績があるというのではなく、広告が上手で名前が広く知れ渡っているという意味で有名です。実際エベレストには何度もチャレンジしましたが、とうとう成功せず、その中で手の指を9本失い、スポンサーも離れていき、最後は無謀な登頂にチャレンジして命を落とされてしまいました。

この方の生き方について何ら触れるつもりはありません。今回触れたいのは、そのエベレスト登頂を補助していたシェルパ(ネパールの少数民族の名前)についてです。

シェルパはエベレストに精通したプロで、登山家を補助する役目を担います。シェルパはあくまでも補助ですので、最後の決定を下し、実際に登頂するのは登山家本人です。

先ほどご紹介した登山家の方にもシェルパがついていましたが、度々シェルパの進言は聞き入れず無謀なアタックを繰り返したとのことでした。

 

こう考えると、私たち塾の講師もシェルパと同じだなぁと感じます。

山の頂上を受験合格とします。私たちは登頂までの道筋や上り方、気を付けたほうが良いところなど登山家(生徒様)よりも詳しく知っています。私たちは安全に早く登れるように登山家に随時アドバイスを送ります。「ここは危険だよ」「ここでこうしてしまうと登り切れないよ」と。ただし、上るのはあくまでも生徒様で、決定するのも生徒様です。シェルパたる講師がいかに進言したところで、聞き入れてもらえなければどんなにシェルパが頑張ろうとも無事登頂できないのです。

 

また、私たち講師を医者にたとえてみます。

色々悪いところがあって来院された患者さん(生徒様)に対し、処方箋として苦いけれども飲めば治る薬を処方します。患者さんは苦いのを我慢して薬を飲んでくれさえすれば病気は快方に向かいます。しかし、医者ができるのはここまでで。最後に薬を飲むのは患者さんなので、家に帰って薬を捨て、その後病院に来なくなったとしても、医者にできることはありません。

 

宿題をするように、塾に来たくなるように気持ちを向かわせて、等生徒様の気持ち「マインド」に対する要望を頂くことがあります。

しかし、シェルパが登山家をおぶってエベレスト登頂を行わないように、または医者が自宅まで薬をもっていって、押さえつけて薬を飲ませるなんてことがないように、講師が無理やり宿題をさせたりっていうのも難しいことです。

塾に来た際に宿題をしてもらうことはできます。しかし、それは宿題ではありません。あくまでも自宅で学習するように課題を出すのが宿題ですので。

 

生徒様にとって、私たちはシェルパであり、医者のようなものです。正解の道標を作っていきますが、そこを上るのはご本人。できるだけ、危険ではない道を歩んで登っていけるよう私たちは道標を作り続けるのです。